社史入門

周年事業の一環として社史を作成する際、取材対象者の選び方は非常に重要です。特に、当時の状況を知るOBや関係者の「生の声」を誌面に反映させることで、内容に臨場感や信憑性が生まれます。しかし、情報を持つ方であれば誰でもよいわけではありません。ここでは、取材対象者の選定にあたって考慮すべきポイントを解説します。

1. 企画テーマに沿った取材対象者の選定と公平性の確保

取材対象者を決める際には、企画テーマに合致していることと、公平性が保たれていることが不可欠です。
重要なのは、テーマに沿った人物をバランスよく選び、特定の立場や視点に偏らないことです。
たとえば、社員の思い出を振り返る企画で、50代の役員や管理職ばかりを取り上げると、情報に偏りが生じます。
社史は会社の歴史を公平に伝える役割があるため、以下のような視点で取材対象者を選びましょう。

  • 部署・職種(開発、営業、企画など多様な部門)
  • 役職(役員、管理職、一般社員)
  • 年齢層や性別
  • 社内での立場やキャリアの違い

特に、製品開発に携わった方だけでなく、営業や現場で活躍している社員の声も取り入れることで、社史全体の厚みが増します。
また、社内で知られた優秀社員だけでなく、多様な社員を取り上げることで、読者視点に立った公平な内容となります。

2. 取材対象者決定時に注意すべきポイント

取材対象者を具体的に絞り込む段階では、担当者が話しやすい方や既に繋がりのある方に声をかけがちです。
たとえば、社内広報担当の方が過去の経験から「○○さんなら話しやすい」「○○さんは原稿にしやすい話をしてくれる」といった理由で決めてしまうことがあります。
しかし、社史制作はこれまで知られていなかったエピソードを掘り起こす絶好の機会です。
時間や労力をかけて新たな取材対象者を探し、様々な情報を引き出すことで、より深みのある社史に仕上がります。

まとめ

  • 企画テーマに沿った人物をバランスよく選び、公平性を保つことが大切
  • 部署や役職、年齢、性別など多様な視点を取り入れる
  • 担当者の過去の経験に頼りすぎず、新しい取材対象者との出会いを大切にする
  • これにより、臨場感や信頼性の高い社史を作成できる

社史の制作は周年事業の重要な柱です。ぜひ、取材対象者の選定にじっくり時間をかけ、より多角的な視点で進めていきましょう。

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