社史入門

小説型の社史とは?

創業者、あるいは功労経営者、相談役、顧問など現役を退いた経営トップの軌跡を辿る形で自社の企業ブランドを発信するタイプの社史。史実と客観的事実を踏まえながら、読者が知らない、当時の経営者の主観や情景も盛り込めるため、読者の共感を得やすいメリットがあります。

小説型の社史の特徴

記録性よりストーリー性に富み、メッセージ力が強い

一人の歴史や特定のエピソードを歴史の意味や背景、当時の人々の心情まで掘り下げて紹介することができます。反面、さまざまな出来事を網羅的に記録しておくことには不向きです。

インナーブランディングツールとして重要

時系列的な著述に加え、その企業のエポックメーキング的なエピソードを経営者の主観や情景を交えて著述できるので、読者はその企業の裏面史に触れることができます。企業の盛衰は経営者の資質に負うところが大きいため、創業者や功労経営者の軌跡に焦点を絞った小説型社史は、アウターブランディング効果はもとより、インナーブランディングツールとして重要です。

読み込む必要があるため浸透性は低い

雑誌型や漫画型などの気軽に読めるタイプと比べると、深く読み込ませる必要があるため、浸透性という面ではいささか障害があります。

社史制作で気をつけるポイント

当時の情景をリアルに描く必要があるため経営者や関係者の取材やインタビューが不可欠

情景描写部分の取材は経営者や関係者の回顧インタビューに頼らざるを得ないため、その裏付け・補足取材に多大な手間と時間を要するのが通例です。余裕のある制作スケジュールが欠かせません。

ルポルタージュ経験豊かなライターの起用が必要

原稿執筆に際してはルポルタージュ経験豊かなライターを起用する必要があります。経営者の単なる自叙伝と異なり、編纂には細かいところで専門性を要するため、ライターの選定は非常に重要です。外部専門会社との連携が欠かせません。

描写が史実と乖離していないかなど綿密に検証する必要がある

小説型社史のエッセンスである心情や情景の描写が史実や客観的事実と乖離していないか、整合性が取れているかを綿密に検証しなければいけません。

読者の共感が得られるような注意が必要

「風雲児」「稀代の〇〇」などの形容に代表される経営者の自慢話や苦労話は、読者の共感を得られないケースが多く、読ませる工夫や構成に注意が必要です。

編集が単調になりやすいため画像の配置を工夫する。

小説型社史は、文章ベースなので単調になりやすい傾向があります。そのため情景描写関連の写真やイラストを配置するなどの編集上の工夫が必要です。

まとめ

小説型社史は、企業のエポックメーキング的なエピソードを経営者の主観や情景を交えて掘り下げて紹介することができます。創業者や功労経営者の軌跡に焦点を絞った小説型社史は、インナーブランディングツールとして重要視されてきており、取り組む企業は今後も増加傾向にあるといえます。

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