社史入門

社史や周年誌の編集を進めるなかで、多くの企業が直面するのが「掲載に適した写真がなかなか見つからない」という課題です。文章資料と比べて、写真資料の収集には特有の手間と準備が必要です。しかし、あらかじめ収集の基準と手順を明確にしておけば、作業をスムーズに進めることができます。
ここでは、社史編集に必要な写真資料の種類や収集の流れ、整理のコツについて、わかりやすく解説します。

1. どのような写真資料を集めるべきか

社史に掲載する写真には、組織の全体像や活動内容を視覚的に伝える役割があります。そのため、次の3つの視点から幅広く収集することが大切です。

主な収集対象

分類 内容の例
全社的な写真 創業時の本社ビル、周年記念式典、役員集合写真など
宣伝・営業に関する写真 広告媒体に使用された写真、販促イベントの様子、店頭の様子など
拠点・現場の写真 支店や営業所の外観・内観、工場の作業風景、生産ラインなど

資料の形式

収集対象となる写真の形態は、次のように多岐にわたります。

  • 紙焼き写真(プリント)
  • ネガ・ポジフィルム
  • 8ミリ/16ミリフィルム(家庭用映写機で撮影されたもの)
  • デジタル写真(近年のイベントや展示物など)

2. 収集の手順と進め方

写真資料の収集も、基本的な進め方は文書資料と共通しています。ただし、写真ならではの特徴を踏まえた「幅広く・丁寧な確認作業」がポイントになります。

ステップ1:収集の方針を明確にする

  • 本文構成に沿ったテーマごとの写真リストを作成する
  • 例えば、「創業期」「製品の移り変わり」「社屋の変遷」など、章ごとに必要な写真を想定する
  • どの範囲の写真が必要かを、社史の目的に合わせて基準化することが重要です

ステップ2:収集先をリストアップする

縦軸(組織内の部門)と横軸(外部関係者やOB)で、次のように対象を広げていきます。

  • 社内の主な部門:
    広報部、総務部(全社的な行事・記録写真が豊富)
    営業部、商品開発部(現場や商品に関する資料を保有)
  • 社外・個人の所蔵:
    OB・退職者(貴重な昔のスナップ写真を保管していることがある)
    関連会社や取引先(周年イベントや共同プロジェクトの記録)

ステップ3:依頼と管理

  • 各部門や個人に対して、「写真資料提供のお願い」リストを作成・配布すると、依頼がスムーズになります
  • 提供された写真は、以下の情報を添えて整理しましょう:
    • 撮影時期
    • 撮影場所
    • 写真に写っている人物・物事
    • 提供者の氏名・所属

3. 写真の整理と管理のポイント

写真資料は「集めて終わり」ではありません。適切に整理・管理することで、原稿作成やレイアウト作業が格段に進めやすくなります。

整理のチェックポイント

  • デジタル化の検討:
    紙焼き写真やフィルム資料はスキャンしておくと、検索性や保存性が向上します
  • ファイル名とフォルダ整理:
    「年代」「テーマ」「提供者」などの分類で管理すると後の作業が楽になります
  • キャプション情報の管理:
    写真に関する情報(撮影日・人物名など)をExcelや一覧表で管理しておくと、編集時に役立ちます

まとめ:写真資料の収集は“基準と段取り”がカギ

写真系資料は、視覚的に伝える力が強く、社史や周年誌に深みを持たせる重要な要素です。一見すると収集が難しいように思えますが、ポイントを押さえた段取りさえあれば、スムーズに進めることができます。
まずは、何を・誰から・どう集めるかの方針を明確にし、関係者への丁寧な依頼と情報の整理を行いましょう。

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