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周年事業の進め方

帝国データバンクの『2017年「周年記念企業」実態調査』(2016年11月21日発表)によると、2017年に周年の節目を迎える「周年企業」は14万5103社に上り、このうち100周年を迎える企業は1011社もあります。これら周年企業の大半が何らかの形で周年記念事業を実施するものと見られています。
本記事では、こうした周年事業について基本的な事柄をまとめてご紹介します。

1、周年記念事業の役割とは?

まずは基本的な概念を押さえておきましょう。
「周年」というと、式典やイベント開催、社史・記念品の配布をイメージされる方が非常に多いのではないでしょうか。

かつての周年事業は「社員や取引先などのステークホルダーに、社業協力への感謝を表し、併せて会社のビジョンや未来像を披露するコミュニケーションイベント」と認識されていました。
そのため、記念講演会・懇親パーティ開催などの式典が記念事業の大半を占め、事業期間も1日あるいは1週間程度で終了するのが普通でした。

しかし、現在では「周年事業」の果たす役割はさらに広い意義を持ち、重要性を増してきています。
周年事業は会社に変化を起こす絶好の機会であり、
企業の成長を促す変化を巻き起こすとして最大限活用すべき機会
とみなされています。

「変化」は企業によってさまざまですが一例として下記のような例がみられます。

  • 組織としての一体感の醸成
  • 新理念・新行動指針策定と浸透
  • 企業ブランドの再構築、新しいイメージ作り

2、なぜ周年は変化を起こす絶好の機会といえるのか?

ある日突然新しいことを始めたり、従来のスタイルを変化させるのは、社内外からの納得感を得難いのに比べ、周年を契機にした変革は納得感を得やすくなります。
つまり、良い意味で周年は都合の良い「理由」あるいは「言い訳」とすることができます。

それだけでなく「周年」であるが故に社内外の注目度が高く、プロモーションもしやすくなります。
「周年」に向け、事前に準備していくことで、社内の結束力も強まりやすくなります。

3、周年記念事業とは何をするものか?

従来の周年記念事業は、主に下記のような形態が多く行われていました。

【従来の主な周年事業形態】

  • セレモニー事業型

    祝賀会、レセプション、記念品配布等

  • アーカイブズ事業型

    社史発行と企業アーカイブズ整備等

  • 福利厚生事業型

    保養施設開設、レクリエーション開催等

  • PR事業型

    CI制定、記念キャンペーン、企業ミュージアム開館等

  • 社会貢献事業型

    各種文化・社会福祉事業開始等

  • 選択型

    上記のいずれか1つか2つを選択する。主流な形態。

上記の中でも「選択型」が主流でした。
しかし、現在は型がどんなことをするのか決まっているわけではなく、
さまざまな形態を複合的に組み合わせた独自の「創作型」の周年事業が主流になりつつあります

【現在の主な周年事業形態】

  • 創作型

    企業が求める「変化」を継続的に推進するために、下記表にあるような周年施策の中から自社に適した施策を選び、連動させて行っていく。

【主な周年施策一覧】

全体像をイメージしやすくするために周年施策を一覧としてまとめたのであり、これら全てを行わなければならないという訳ではありません。これらの中から自社に適した施策を選び、連動させて行っていきましょう。

4、周年記念事業は何のために行うのか

まず、周年記念事業全体としての目的を定めなければ、実施施策を提案しても経営陣を納得させる説明ができず稟議もおりません。例え稟議が通ったとしても、全体の目的設定がなされていなければ複数の施策で方向性がぶれやすく、成果が上がりにくくなります。

最初に述べた通り、周年という節目だからこそ普段はなかなかできないような変化を巻き起こすこともできるので、自社にとってどんな変化が必要か下記の観点から考えてみる必要があります。

■誰がどのように変化することが望ましいか。
(例:社員が一体感をもつ、社内外のステークホルダーに新しいブランドイメージを浸透させる)

目的設定に関しては、次項のスケジュールでも紹介していますが、まずトップに方針を尋ねることをお勧めしています。

5、周年のスケジュールは?どのような流れで進めていくのか?

周年目的や施策の全体像を掴んでいただけたかと思います。
次に、周年事業全体の大まかなスケジュール、流れをつかみましょう。
周年は企業によって期間も内容も大きく異なるため下記はあくまで一例です。
また、フェーズごとに気をつけるべきポイントを下記に簡単にご紹介します。

周年記念事業のスケジュール

周年記念事業の一般的な流れとポイントを簡単にご説明します。

【手順】

  • 1、準備フェーズ(周年2〜3年前)

    • 周年方針の決定
    • 一次予算の決定
    • 体制の決定

    ポイント

    • 周年の決裁者(多くの場合社長)と直接セッションして、想いや周年の捉え方、周年後の経営ビジョンを伺い、周年の方針のヒントとする
      (周年3年前から始めるとなお良い)
    • 周年の方針として、自社にとってあるべき未来のために、誰がどのように変化すれば良いかを整理する
    • 各部署のキーマンをピックアップして、どのようなルートで決裁をとって行けばいいか、周年の方針に沿ってどんな体制にすればいいかと検討する

    準備フェーズにおける決裁

    準備フェーズの最後に「周年の方針」「一次予算」「体制」などを書面化して決裁をもらう。

  • 2、設計フェーズ(周年1年前)

    • コンセプトの決定
    • 各企画を立案、決定、構築
    • 実行委員の巻き込み
    • 予算の本決定

    ポイント

    • 実行委員の啓発・モチベート
      • 周年の意義を伝え、成果にコミットメントしてもらう。
      • 委員同士のコミュニケーション活性化させる。
      • 実行委員から意識と行動を変えていく。
      • 社員自ら企画立案を行う。
    • 周年コンセプト決定
      どの部署とどのようなコミュニケーションを起こすか考える。スケジュールを作る。
    • 周年コンセプトの洗い出しは、
      「自社の過去を振り返り」→「自社のありたい未来の姿を検討」→「自社の今の姿、何を変えるべきか」という「過去、未来、現在」の三つのフェーズに分けて実施していくとよい

    <設計フェースにおける決裁>
    ①設計フェーズの途中:具体的な方向性、予算、明文化されたコンセプトにOKをもらう
    ②設計フェースの最後:最終的な予算や企画、各ツールのデザインなどについてもOKをもらう

  • 3、実行フェーズ(周年:当年)

    • 各企画の実施
    • 社員の巻き込み
    • 目的の実現

    ポイント

    • コンセプトに合った複数のメディアと場作りを一年を通じて連動させて行う。
    • 周年プロジェクトの成功には社員の書き込みが重要
      例え、ターゲットが社外のステークホルダーであっても、まず写真が盛り上がらなければ、周年を盛り上げていくことは難しい。
    • 社員全体を巻き込むために社内広報施策で社員のコミュニケーションを活性化させる

    実行フェーズにおける決裁

    • 周年によって得られた成果や今後の課題と打ち手を報告・確認する
  • 4、アフター周年フェーズ(周年の翌年以降)

    • 成果の持続
    • さらなる発展のための施策実施

6、周年担当者の役割とは?

周年事業の担当者は、本業と兼務で周年準備を進めていかれる方が多く、「現在の業務も忙しいのに、周年の仕事までできない。」と言ったお悩みも多くお聞きします。

  • そもそもどの部署がやるものなのか?
  • どんな部署と連携してやるものなのか?
  • 計画決定までと実行は体制を分けるのか?

なども何も決まっておらず、不安を感じる方が多いようです。

周年事業の担当者に任命されたからといって、すべての実務を行わなければならないわけではありません。

周年プロジェクトの人選は企業によってさまざまですが、多くの場合、周年事業の管理を行う「事務局」と、具体的な施策の企画や実行を行う「実行委員」に分けてプロジェクトを進めていくケースが多いです。
周年担当者は「プロジェクトマネジメント」に近く、進行管理を行っていくのが主な役割です。

事務局は当初周年の担当として任命された部署のメンバーで構成し、その後周年を円滑に進めていくための「実行委員」を選定し、彼らに実務を行っていってもらいます。

7、周年プロジェクトメンバーの人選は?

周年事業では、プロジェクトを円滑に進め、効果的な施策を検討していくために各部署の意見を尊重することが大事です。
そのため、主要メンバーを核とした実行委員を結成し、集合知で周年イヤーのコンセプト・施策などを決めていく企業が多いです。

主要メンバーは、下記の条件で各担当部門長に推薦してもらいましょう。

7-1、主要メンバーの選びのポイント

  • 周年を自分事化してくれる社員
  • 周囲に影響を与えることができる社員
  • 多くの社員から人望がある社員
  • 将来の経営を支えるキャリア社員
  • 現状に危機感をもち成長意欲のある社員

また、これらの主要メンバー決定後は、彼らの意識啓発、ベクトル合わせ、モチベーションアップが非常に重要となります。

  • 周年インナーブランディング講座
  • 社史づくり基礎講座