社史・周年知恵袋

周年事業や節目のタイミングで社史を制作する企業は少なくありません。しかし、その多くが発行後に「保管物」や「配布物」として扱われ、活用される機会を失っているのが実情です。

本来、社史は過去を記録するためだけのものではありません。企業の理念や判断軸、文化の積層を可視化し、それを未来に向けて活かす“戦略資産”として設計することが、いま多くの企業で求められています。

では、つくって終わりではなく、“繰り返し使われる社史”とはどのようなものなのでしょうか。以下、その設計思想と活用のヒントを紹介します。

社史に求められるのは「文化と戦略を伝える設計」

これまでの社史は、創業年からの沿革や出来事を記録することに重きが置かれがちでした。

しかし、組織の世代交代や働き方の多様化が進む中で、「なぜこの理念を掲げているのか」「どのような価値判断が重ねられてきたのか」といった、行動や判断の背景を伝える必要性が高まっています。

単なる年表ではなく、理念や戦略が形成されてきた「文脈」をストーリーとして再構成する。これが“使える社史”の前提です。

“読む”から“使う”へ──社史の具体的活用シーン

1. 新入社員研修での理念理解

社史を通じて、創業時の苦労や経営判断の背景を学ぶことで、理念や行動指針への理解が深まります。
記号的に覚えるのではなく、ストーリーとして納得することが、行動変容の第一歩となります。

2. 中途採用者へのオンボーディング資料として

入社後すぐに企業文化になじめるかどうかは、その会社の“判断のクセ”を理解できるかにかかっています。社史に経営の考え方が反映されていれば、組織適応がスムーズになります。

3. 製品開発・マーケティングの源流資料として

創業当初からの製品やサービスに対する哲学を知ることで、今後の開発やブランディングの軸がぶれにくくなります。
特に世代交代した担当者にとっては、思想の継承資料となります。

4. 経営ビジョンとの接続資料として

「これからどうするか」を語る際に、「これまで何を大切にしてきたか」が裏付けとして存在することは説得力を高めます。経営層のメッセージに厚みを加えるベースにもなります。

“つくって終わらせない”社史のつくり方

繰り返し活用される社史には、いくつかの共通した設計思想があります。

  • ● 編集方針は「理念」「戦略」「現場の声」の三層構造にする
    経営層の視点だけではなく、現場の挑戦や社員のエピソードを織り交ぜ、読者(=社員)の共感を得る構造が重要です。
  • ● 専門家+現場社員の協働で編纂する
    片方の視点に偏らないためには、第三者的な編集力と、社内の記憶を知る人材との連携が不可欠です。
  • ● Webやイントラでの連載・分割展開を見据える
    一冊完結型にするのではなく、イントラ連載・教育コンテンツ・FAQ・動画展開など、多面的な“出力”を想定した設計にしておくことで、鮮度を保ちやすくなります。

未来へ開かれた“共通言語”として

優れた社史は、企業の過去を語るだけでなく、今の判断を正当化し、未来の意思決定に方向性を与える力を持ちます。

それは社外に向けたブランディング資料でもあり、同時に社内における文化・理念の“共通言語”でもあります。

節目に社史を制作するのは、その過去を整理し直し、次の10年・20年をどう築くかを再定義するためでもあるのです。

社史を“活かす資産”に変えるには

私たち日本ビジネスアート株式会社では、企業文化や経営理念、現場のストーリーを活かし、読み継がれ、使い継がれる社史の企画・制作・展開支援を行っています。

  • 戦略・文化・理念を伝える構成設計
  • インタビューから掘り起こす現場視点の編集
  • 冊子・Web・イントラ・動画への多媒体展開

「つくること」が目的ではなく、「使い続けられること」を前提にした社史づくりを、ぜひご一緒に考えてみませんか。

ページTOPへ