社史・周年知恵袋
周年事業次の10年に向けた“問い”を仕込む──周年プロジェクトで目指すべき視点
周年は単なる過去を振り返るイベントではなく、未来の10年を問う絶好の機会です。記念事業を未来志向の変革装置にするために、「何を問い直すか」という視点で周年を再設計しましょう。
企業にとって周年は、単なる通過点ではありません。
創業の原点を振り返ると同時に、これからの10年・20年をどう歩むかを問う機会でもあります。
しかし、現実には「記念式典の準備」や「社史の発行」に留まり、過去を振り返るだけの事業で終わるケースも少なくありません。
本来、周年は未来に向けた”問い”を全社に仕込むための絶好のタイミングです。
その問いが組織に深く根づけば、社員の視点は変わり、行動に継続性が生まれます。
周年とは「何を問い直すか」の機会
変化のスピードが激しい現在、10年前の前提はすでに通用しないことが多くあります。
これからの10年を切り拓くには、「自分たちはなぜ存在しているのか」「何を大切にしていくのか」といった根本的な問いに向き合う必要があります。
その起点にふさわしいのが、節目となる周年です。
企業の存在意義や価値観、未来のあり方を、社員とともに問い直し、言語化する機会として周年を再設計すること。
それが、記念事業を「未来志向の変革装置」へと転換する鍵になります。
“問い”のない社史は、読まれない
社史を制作する企業は多くありますが、活用されず社内に眠ったままになっているケースも少なくありません。
その原因の一つは、「問いが設計されていないこと」です。
年表や功績を並べるだけでは、社員の視点や思考は動きません。
一方で、次のような問いを立てながら編纂された社史は、社員の思考を刺激します。
- 創業者はなぜその選択をしたのか?
- 自社は何を守り、何を変えてきたのか?
- この文化をどう未来へ引き継ぐのか?
社史は、過去をまとめるものではなく、未来に問いかける”ナラティブ(物語)”であるべきです。
次の10年に向けた”問い”を共有するプロセス
周年を”未来の問い”と結びつけるには、社史や理念と連動させたプロジェクト設計が重要です。
ステップ1:過去をひもとき、”変わらないもの”と”変わるべきもの”を整理
社史を素材に、経営層や社員とともに「私たちは何を大切にしてきたか」「時代とともに何が変化してきたか」を洗い出します。
ステップ2:”次の問い”を立てるワークショップを開催
たとえば「これからの顧客にどう価値を届けるか?」「社員の働きがいとは何か?」など、部門や世代を超えて議論を重ねます。
ステップ3:”問い”を全社に開く
立ち上がった問いを社内イントラや報告会で共有し、社員から意見や実践アイデアを募ります。
重要なのは、答えを出すことではなく、問いを共有し続けることです。
“問い”が文化を育てる
企業文化は、「答え」よりも「問い」によって深まります。
理念や価値観は、問い続けることで、現場の中に定着していきます。
たとえば、
- 「この判断は、私たちの存在意義と一致しているか?」
- 「この施策は、未来の社員に誇れるものか?」
こうした問いが日常の中で自然に交わされるようになると、組織の判断軸が共有され、文化に厚みが出てくるのです。
周年事業は、そうした問いを”制度化”する絶好の機会となります。
成果にするためのポイント
周年事業を一過性で終わらせないために、以下のような工夫が効果的です。
- 社史や理念をWeb化し、日常的にアクセスできる形で運用する
- 社内報や動画などで”問い”に基づく行動事例を紹介する
- 経営層が自ら”問い”を語り、各部門と対話を続ける場を持つ
形式にこだわるのではなく、継続的に問いを共有する”導線設計”が成功のカギとなります。
制作・設計支援について
日本ビジネスアート株式会社では、周年を”未来の問い”の起点として設計するプロジェクトをご支援しています。
- 経営層・現場を巻き込んだ理念共創ワークショップの企画・運営
- ストーリー重視の社史編集とWebコンテンツ化
- 次世代に向けた問いの共有を仕組みにする社内展開の設計
問いがなければ、理念も文化も育たない。
周年は、社員全員で”未来の問い”を共有し、行動に変えていくための大切な機会です。
これからの10年を考えるあなたの組織にこそ、今その問いを仕込む価値があります。

