社史・周年知恵袋

企業の理念が社員に届いていない。

共感されず、行動につながっていない。

そんな声を多くの経営層から耳にします。

一方で、理念そのものを「変えたくはない」という企業も少なくありません。
重要なのは、理念の文言よりも“理念に対する納得感”をどう育てるかです。

その打開策として注目されているのが、社員が“語れる理念”を共創する周年プロジェクトです。

本稿では、その進め方と、理念を社員の行動と結びつけるための社史の使い方を紹介します。

理念が“語れない”のは、伝えていないからではない

「うちは理念を朝礼で毎日読んでいます」

「入社時研修でも必ず伝えています」

こうした企業であっても、理念が“語れる”ようになっていないのはなぜでしょうか。

それは、理念が「共有」ではなく「暗記」になっているからです。
自分の経験や納得と接続されない理念は、行動の指針にはなりません。

大切なのは、社員自身の言葉で語れるようになるプロセスを設計することです。

周年を理念共創の好機とする理由

節目の周年は、「何のために自分たちは存在しているのか」を見直す絶好の機会です。

普段、理念についてじっくり語る機会がない組織でも、「周年だからこそ」「全社的に振り返るからこそ」参加への心理的ハードルが下がります。

周年という“非日常”のタイミングを利用しながら、理念の背景を再認識し、言葉の意味を問い直すことで、社員の意識と行動をアップデートする共創型プロジェクトを構築できます。

社員が“語れる理念”をつくる3ステップ

1. 社史をひもとき「らしさ」の源泉を見つける

まずは過去の判断やストーリーを振り返り、「この会社らしい選択とは何だったのか」を言語化します。
創業者の想い、危機をどう乗り越えたか、何を守ってきたか──そこに理念の核が眠っています。

2. 部門・世代を横断した理念ワークショップを設計

管理職、若手、間接部門、営業など、属性の異なる社員を交えてグループワークを行い、「どんな言葉なら自分たちは動けるか」を議論します。
理念を押しつけるのではなく、体験と納得から導くことで、社員の言葉になっていきます。

3. 全社で“語る場”をつくる

完成した理念を社内に通知するのではなく、イントラや社内報、ワークショップなどを通じて全社員に「語る機会」を設けることが重要です。
自分の言葉で理念を話す場があることで、初めて理念が“自分ごと”になります。

社史は「語れる理念」を支える物語になる

理念を理解するためには、背景にある判断・歴史・出来事の流れが不可欠です。

そのために、社史は以下のような切り口で再編集されると効果的です。

  • 「創業時の選択」:なぜ今の道を選んだのか
  • 「逆境と突破」:価値観が試された瞬間
  • 「社員の挑戦」:理念が体現されたエピソード
  • 「顧客との関係性」:信頼の源泉となった対応

こうしたストーリーを社内で共有することで、理念が抽象から具体へと“翻訳”されていきます。

成果として残る“語れる文化”

参加型で理念を共創すると、社員は理念に対して「読まされている」のではなく、「支えている」という自負を持つようになります。

そして、「語れる文化」が根づくと、以下のような変化が生まれます。

  • 採用時に理念を自信を持って語れる社員が増える
  • 部門を超えた対話で価値観の共有が進む
  • 評価や意思決定の場で理念が引用される
  • 次世代のリーダーが自然に理念を引き継ぐ

周年でつくられた理念は、一時的なスローガンではなく、共通言語として組織の中に息づいていくのです。

制作・設計のご支援について

日本ビジネスアート株式会社では、周年事業を通じて理念共創や社史活用を行うプロジェクトを多数ご支援しています。

  • 理念再定義に向けた経営層・現場巻き込み型ワークショップ
  • 社史を“語れるストーリー”に再編集するコンテンツ設計
  • 多拠点・多言語にも対応したWeb社史や動画制作
  • 理念を浸透させる評価制度・社内報・教育設計支援

理念は記すだけでは根づかない。語られて、はじめて動き出す。
その起点となる周年プロジェクトを、ぜひ「社員が語れる理念づくり」の場として再設計してみてはいかがでしょうか。

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