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事例

日本クロージャー株式会社
経営統括部
中村 希様
日本クロージャー株式会社 創立75周年社史
A4サイズ114ページ・映像DVDセット

2016年、日本クロージャー株式会社は創立75周年を記念し、社史の発行やイベントなどを開催。社内外を巻き込み、アニバーサリーイヤーを祝す取り組みを展開されました。歴史を未来へつなぎ、そしてもっと会社を好きになってほしい――そんな想いを込めた社史制作一連の取り組みをご紹介します。

社内報と連動させながら
読みやすさ重視の社史づくり

老舗キャップメーカーの日本クロージャー株式会社(以下、NCC)は、2016年に創立75周年を迎えました。創立は1941年。当初は王冠製造から始まり、経済発展や製品の多様化に伴い、多岐にわたる製品づくりへと発展。現在は業界トップのポジションを確立しています。昨今ではプラスチックキャップやボトル缶キャップ、調味料容器のキャップなど、NCC製品は日常生活のさまざまな場面で活躍しています。

75周年史は「“会社を好きになる”ような社史」をコンセプトに編纂されました。具体的には下記の2点が目標として設定されました。

  • 75年の歴史を全従業員、OBと共有することで、会社を好きになってもらう
  • 足跡をありのままに記録し、新たなステージに進むための礎とする

NCCでは、2013年4月に社内報をリニューアル。「裏表紙で『記憶』という連載をスタートさせました。これは、2年間24回にわたり、既に発行していた50周年史をもとに当社の歴史を紐解いていく企画。たとえば、創業時は太平洋戦争の影響で資材がなく、米軍駐在員の捨てた空き缶を拾って王冠を作っていた…などというエピソードを、情熱的な文章で綴りました。『そんな歴史があったことを初めて知った』という声も多数寄せられ、たちまち人気企画となりました」と、中村さん。実は、社内報編集においても“長文は読まれない”という課題を感じておられました。それ故に『記憶』は時代も短く区切り、文章も情熱的かつ端的なのが特徴。読み手の心をつかみ、すっと入ってくるような工夫を凝らしました。
背景には、NCCの事業形態も関係していました。「当社は国内4か所に生産拠点があり、現場で働く従業員は、腰を落ち着けて社内報を読む機会がそれほどありません。75周年史にもつながりますが、端的かつキャッチーであることは社内報でも大切にしています」。

校正作業はつらく厳しい戦い
少しずつ形になるプロセスが心の支えに

実制作を始めるにあたり、経営統括部には「社史制作委員会 事務局」を設置。役員を筆頭に7名のメンバーが名を連ねました。また、4工場の総務を担う生産管理課を窓口とし、細かな依頼をスムーズに行える体制を整えたのです。

面白い社史を作ろうとの期待がふくらむ一方で、目の前には膨大な編集作業が待ち受けていました。「情報を収集したり年表を制作したりするうちに、大変さに直面して徐々にテンションが下がっていきました…(笑)そして、恐ろしいほどの取材・執筆と編集・校正作業に追われていた頃は本当につらかったですね。それでも何とか前進し、完成見本ができたあたりからゴールが見えてテンションが高まり、無事校了にこぎつけられました」と語る中村さんの心情は、多くの社史編纂担当経験者の気持ちを代弁しているようです。

だからこそ、完成時の喜びはひとしお。発行後には、何とOBから直筆のお礼状が届いたそうです。永年社内報担当を務めている中村さんにとっても、これほどの反響は初めてだったそうです。「入社10年足らずの私にとって、75年の歴史は知らないことがほとんどでした。一方、ベテラン従業員やOBにとっては、自分たちが頑張って築き上げてきた時代をまとめあげた一冊だったんだ、と改めて実感できました」。

75周年史は新卒や中途入社の従業員にも配布。NCCの歴史や社風を知るツールとして活用されています。なかには、デスクに常備してフル活用している方もいるのだとか。ソフトカバーの扱いやすさも、フル活用のポイントになっているようです。「派手さはないものの、年表はとても便利。従来は知りたい情報があるとその年の社内報をひっくり返して探さなければならなかったのですが、75周年史は年代ごとの出来事が一覧でまとまっているので一目でわかるようになりました」。

社内外を巻き込みながら
工夫を凝らした多彩な企画

今回の75周年史では、単なる読み物ではなく参加型企画を多数展開しています。50周年史の存在を尊重し、それまでの歴史は簡潔にまとめ、直近25年に重点を置いてメリハリのある作りにしました。歴史以外にも多彩な企画を掲載。

  • クリックでご覧いただけます(pdfファイル)

    The history of NCC

    NCCを代表する6製品を取り上げ『キャップ図鑑』として紹介し、こちらは会社案内ビデオともラインナップをリンクさせました。また、お客様への取材を通して、客観的に見たNCCの姿が伝わる企画も用意。日々の仕事ではなかなか実感できないかもしれませんが、キャップメーカーとしていかにお客様の役に立っているか、社会に必要とされているか、改めて感じられる一つのきっかけとなりました。

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    キャップ図鑑 CAP PICTURE BOOK 2015

    NCCを代表する6製品を取り上げ『キャップ図鑑』として紹介し、こちらは会社案内ビデオともラインナップをリンクさせました。また、お客様への取材を通して、客観的に見たNCCの姿が伝わる企画も用意。日々の仕事ではなかなか実感できないかもしれませんが、キャップメーカーとしていかにお客様の役に立っているか、社会に必要とされているか、改めて感じられる一つのきっかけとなりました。

  • クリックでご覧いただけます(pdfファイル)

    キャップのある思い出

    「従業員参加型企画としては、作文を募集。社内報やポスターを活用して告知したうえで、従業員のやる気をより高めるために賞金も準備しました。全社から寄せられた作文は編集委員が審査し、イラストとともに75周年史に掲載しています。さらには社外からの参加として、グループ会社と開催するイベントで子どもたちから“未来のキャップ”のイラストを募集。技術開発を行う部門の社員約20人で審査会を行い、評価の高かったイラストをそのまま掲載しています。

制作中、中村さんが判断基準にしていたのは“自分が読み手だったらどう思うか”という視点。「読みたいか?」「イケていると思うか?」「パッと見て何のページかわかるか?」「見出しと本文は食い違っていないか?」と問いかけながら、誌面づくりを進めていったそうです。

実作業において最初に行ったのは、年表制作。まずは些細なトピックスもすべて盛り込んだ年表を作り、そこから内容をブラッシュアップしていく作業を進めていきました。「年表作成には、確認のため情報源が必要となります。年表は事務局で分担して作り上げたのですが、人によって書き方がまちまちで後から調べるのが大変だったケースも。書き方などはあらかじめ詳細に決めておくことが重要です」とは、経験者ならではのアドバイスと言えるでしょう。また、資料編の中には売上高や従業員数の推移も掲載。和暦・西暦併記など、実際に“資料”としての使いやすさにも配慮されています。

当時を振り返って中村さんが今思うことは、仕事の割り振りの難しさ。「私は仕事をほかの人に振り分けるのが苦手で、一人抱え込んでしまいパンクしそうになったこともありました。体制や役割については、最初の段階で明確にしておくことが大切だと思います。それは単なる業務分担という点だけでなく、作り手のモチベーション、つまりは社史の質にもかかわってくることですから。もちろん、はじめのうちはどんなことをするのか、具体的にイメージできないかもしれませんが、たとえば表記統一表(※)を1枚作っておくだけで、校正作業を分担させることができる。作業を分けても質がぶれない仕組みを考え、その都度導入していくことが大切なのだと痛感しました」。時間とコストをかけて、会社を挙げて作り上げる社史だからこそ、周囲を巻き込みながら質を高めていく工夫が大切なのだと言えます。

冊子において複数回登場する単語の表記法をルール化した一覧表

75周年史を軸に展開する
イベントで社内に活気をもたらす
今でも実感する多様な成果

NCCでは創立75周年に際し、75周年史以外にもさまざまなプロモーション活動を展開されました。「まずは、社内報で式典までの期間をカウントダウン。歴史にかかわる企画も盛り込みながら、社内の認知を高めていきました。社史発行後には式典も開催。本社と生産拠点の全国5会場で行いました。75周年のシンボルマーク作成、全従業員の顔写真で75周年のロゴを描いたモザイクアートの展示、歴史を振り返るレコーディングムービー、記念品としてのコットンバッグとハンカチ制作など、75周年史だけで終わらないイベントを幅広く催し、全社を挙げてこの重要な節目をお祝いしました」。式典の様子は後日、社内報でレポート。工場は24時間稼働のため、当日参加できなかった従業員にも様子が伝わるように配慮されたそうです。

この社史制作が中村さんご自身にもたらしたもの――それは「会社への愛着」と「人へのリスペクト」だったそうです。「2013年に社史編纂の任務を言い渡され、完成までの間にどんどん会社への愛着が深まっていく実感がありました。取材を通して、会社を支えてこられた大先輩の皆さんにたくさんお話をうかがいました。今、ある当たり前の会社の姿は、先人が必死に築き、守ってきたからこそ存在しているわけです。改めて、NCCという会社をとても好きになれました」。
もう一つ、周囲の人への目線も変化したと中村さんは言います。「日ごろ意識することは少ないものの、私の知らないことを知っている人が周囲には大勢いる、という事実に気づかされました。それは、先輩だけではなく同僚や後輩も同じですし、社外の人にも言えることです。一緒に働く仲間を見る目が変わり、リスペクトの心が生まれたのは、非常に大きな変化でした。正直、社史編纂担当になった時はそれほどやる気があったわけではなかったのですが、今改めて、心から『やってよかった!』と思っています」。

たくさんの想いと工夫を込めた、NCCの75周年史。会社をより深く知り、もっと好きになってほしいという想いが読み手一人ひとりの心に届く一冊は、未来へと進んでいく原動力になるのかもしれません。

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