社史・周年知恵袋
社史 企画会社の魅力を“家族に伝える”という選択──共感を育てる記念誌のつくり方
社員の家族に会社の魅力を伝え、「家族が誇れる会社」「仕事を語れる社員」を目指す周年記念誌づくりの具体的な工夫と、それによって得られる成果(誇り・定着)について解説します。
「お父さん、どんな仕事してるの?」「お母さんの会社って、何してるの?」
この問いに、自信を持って答えられる社員はどれほどいるでしょうか。
企業のブランドや事業の価値は、顧客や株主、社会に伝えるべきものであると同時に、社員本人とその家族にこそ届くべきものです。近年、企業の周年記念事業において「社員の家族」を意識した記念誌やコンテンツを制作する動きが注目されています。
単なる“お祝いの冊子”にとどまらず、「家族が誇れる会社」「仕事を語れるようになる社員」を目指す記念誌づくりとは、どのように進められるべきなのでしょうか。
なぜ“家族”に向けて会社を語るのか
企業の魅力や意義を「社外に発信する」ことは、広報やブランディングとして当然の活動です。
しかし、その“社外”に社員の家族を含める発想は、これまで意外と見落とされてきました。
社員の家族は、企業文化や価値観を“家の中”で共有する最初の受け手でもあります。
どんな仕事をしていて、どんな仲間と働いていて、どんな想いを大切にしているのか。
そうしたことが伝わるだけで、家族の安心感や信頼、ひいては社員自身の誇りにもつながっていきます。
そしてそれは、「働きやすさ」や「定着率」「企業ロイヤリティ」にも影響を及ぼします。
家族が企業の理念や姿勢を理解していれば、社員が困難な局面を迎えたときにも支えになり、退職を思いとどまる理由になることもあるのです。
“家族に伝える”記念誌づくりの工夫
1. 専門性をかみ砕く「翻訳力」
多くの企業が抱える課題のひとつが、「自分たちの仕事を社外の人に説明しにくい」ということです。
特にBtoB事業や、技術職・エンジニア系の仕事では、業務内容が複雑で見えづらくなりがちです。
そこで求められるのが、“専門性のかみ砕き”と“人の想いへの変換”です。
記念誌の中で難しい言葉を並べるのではなく、「どんな困難を乗り越え、どんな価値を届けてきたのか」をストーリーとして編集する。
これにより、読み手が社員の仕事に対して感情的な理解と尊敬を持つことができます。
2. “社員の語り”を中心に据える構成
経営者のメッセージや数字の実績も大切ですが、現場社員の語りが主役になることで、より家族の共感を得ることができます。
- 「初めて社外の人に自分の仕事を説明できた」
- 「こんなに仕事を頑張ってるなんて知らなかった」
- 「子どもが“かっこいいね”と言ってくれた」
こうした声が出てくる記念誌は、単なる紙の冊子を超えて、企業と家族をつなぐコミュニケーションツールとなります。
3. 読みやすさ・デザインの工夫
一般家庭でも気軽に読んでもらうためには、文章量や構成、デザインの設計も重要です。
硬すぎず、軽すぎず、写真やイラストを多めに取り入れることで、年代や立場を問わず手に取りやすい誌面になります。
成果としての“誇り”と“定着”
家族に伝える記念誌をつくった企業の中では、次のような変化が起きています。
- 社員が自分の会社を語れるようになった
- 社内での職種理解が深まり、部署間の連携がスムーズになった
- 家族の声が社内報やイントラで取り上げられるようになった
- 周年をきっかけに、理念の再確認や未来のビジョン整理が進んだ
“社員の声”を起点に、“家族の視点”を通して企業の魅力を再発見する。
そのプロセス自体が、組織文化の更新であり、インナーブランディングの一歩でもあるのです。
制作支援について
日本ビジネスアート株式会社では、周年記念誌・社史・家族向けファミリーブックの企画・制作を通じて、
「伝わる記念誌」「つながる文化資産」としてのコンテンツ設計をご支援しています。
- 社員と家族をつなぐ構成設計
- 各部署横断の実行委員会による共創体制
- 紙・Web・動画など複合メディアでの展開
- 採用・教育・IR施策との接続支援
“会社を語れる社員”は、組織の最大の広報担当です。
そして、“社員を誇れる家族”は、企業の最強のサポーターです。
周年記念は、その関係性を再構築する絶好のチャンス。
「社内のため」だけでなく、「大切な誰かに伝えるための記念誌」づくりが、企業文化を一歩深く、しなやかにしてくれます。

