社史・周年知恵袋
社史 企画社史は終点ではなく起点になる──行動を生み出す“未来ブック”構想
社史を過去の記録ではなく、行動を生み出す「未来ブック」として再設計する構想と、その具体的な構成視点を解説します。
社史と聞くと、「過去をまとめる記録」「周年記念のアーカイブ」といったイメージを持つ方が多いかもしれません。
確かに、これまでの社史は、区切りの年にその歩みを振り返る“まとめ”の存在であり、「終点」のような位置づけで語られることが一般的でした。
しかし、今、多くの企業が求めているのは、「行動を変える文化の起点」としての社史。
これからの時代に必要なのは、過去を振り返るための“記念誌”ではなく、未来を切り拓く“未来ブック”なのです。
なぜ社史を“起点”として再設計すべきか?
環境の変化が激しい現代において、多くの企業が以下のような課題を抱えています。
- 理念やビジョンが浸透しない
- 組織の軸が見えにくく、判断が属人的になっている
- 若手とベテラン、国内と海外など、文化の分断が起きている
- 自社らしさが言語化されず、採用や研修で伝わらない
これらは単なる情報不足ではなく、“背景”と“文脈”の共有が足りないことによって起こっています。
社史には、こうした背景や判断軸を言語化し、物語として伝える力があります。それも、単に過去の出来事を振り返るのではなく、これからどう進むかを考える土台として位置づけることで、文化と行動に接続できるのです。
“未来ブック”とは何か?
未来ブックとは、社史を「読むもの」から「使うもの」へと再定義した構想です。特徴は以下の3点です。
1.【過去の整理ではなく、未来の問いを起点に構成する】
「これまでどうだったか」よりも、「これから何を大切にするのか」「どう変わるのか」を主眼に編集する。たとえば、「100年を、ひっくり返せ。」のようなメッセージで、変革の意志を社内に広げていくことが目的になります。
2.【全社巻き込み型の編集体制】
経営陣の言葉だけでなく、現場社員の声や、若手の視点、海外拠点の経験などを編集に反映させることで、「自分ごと化された社史」をつくり上げる。
3.【継続的に“使われる”導線を持つ】
完成して終わりではなく、新入社員研修、管理職研修、理念浸透施策、イントラネットでの連載、動画展開など、組織の中で何度も再利用される構造を持たせます。
社員の行動を変える3つの構成視点
- 「なぜその判断がなされたのか」を語る
- 経営や現場の判断の背景にある価値観や思考プロセスを丁寧に描くことで、理念と現実の接続点が見えるようになります。
- 「今の行動とつながる」文脈をつくる
- 現在の制度や文化が、どういう経緯でできたのかを示すことで、社員は「これは自分たちが受け継いできたものだ」と納得を持って動くことができます。
- 「これからの問い」を投げかける
- 未来ブックでは、単にまとめるのではなく、「これからどうありたいか?」という問いを添える構成が有効です。これが、行動の起点になります。
活用の場面は“社史以上”
未来ブックは、制作後の活用こそが本番です。たとえば:
- 新入社員研修で「なぜこの会社はこの制度を持つのか」「どんな文化があるのか」を体感する教材に
- 管理職研修で「判断の軸」「理念と行動の一致」を再確認するケーススタディに
- 採用活動で「この会社はどんな価値観で判断し、行動するのか」を伝えるブランディング素材に
- 海外展開・グローバル研修で「本社文化の根源」を伝える多言語メディアに
一度つくって終わりではなく、変化の節目ごとに読み返され、行動の指針となる社史こそ、これからの組織に必要な資産です。
制作・導入支援のご案内
日本ビジネスアート株式会社では、過去の記録ではなく、未来の問いを起点にした社史=“未来ブック”の構想・制作・活用をご支援しています。
- 理念やビジョンと連動させた編集設計
- 経営・社員・若手・海外を巻き込むプロジェクト体制
- 紙・Web・動画など複数チャネルでの表現展開
- 社内研修やイントラネット連載など活用導線の設計
社史は「まとめ」ではなく「はじまり」。
企業がどんな軸で未来をつくるのかを問い、社員の行動を変える。
それが“未来ブック”の本質であり、これからの時代にこそ求められる文化の土台です。

