社史・周年知恵袋
社史 企画失敗しない社史づくりのための“5つのチェックポイント”
社史制作は単なる「過去の整理」ではなく、経営の姿勢や組織文化を言語化し、企業の本質を伝える重要なプロジェクトです。失敗を防ぐために、着手前に確認すべき5つのポイントを解説します。
社史制作は、企業の節目や周年事業の一環として取り組まれることが多く、一見すると「過去をまとめる作業」のように見えるかもしれません。
しかし実際には、経営の姿勢や組織文化、社員の記憶といった目に見えない資産を言語化し、社内外に“企業の本質”を伝える重要なプロジェクトです。
一方で、「途中で頓挫した」「読み手を意識できなかった」「目的とズレたアウトプットになった」など、社史づくりにおける失敗事例も少なくありません。
本稿では、そうした失敗を防ぐために、着手前に押さえておくべき“5つのチェックポイント”を整理します。
1. 社史制作の「目的」は明確か?
最も多い失敗のひとつが、「なぜ作るのか」が曖昧なままスタートしてしまうケースです。
周年のタイミングだから、上層部からの指示だから、という受け身の姿勢で始めると、方向性にブレが生じ、途中で迷走する原因になります。
まずは、「誰に」「何を伝え」「どんな価値を生み出すか」を明確にすることが必要です。たとえば以下のような目的があります。
- 創業精神や経営理念を継承したい
- 社員の一体感・誇りを醸成したい
- 対外的に企業の信頼性を高めたい
- 次の経営ビジョンを提示したい
目的によって、構成、トーン、メディアの選び方は大きく変わってきます。
2. 想定読者と使用シーンは定まっているか?
社史の読者は、必ずしも経営層や歴史好きだけではありません。新入社員、採用候補者、顧客、取引先、投資家──誰が読むかを想定することで、言葉の選び方や構成が大きく変わります。
また、読まれない社史に共通するのは、「使われる場面」が想定されていないことです。
- 社内研修で活用する
- 営業資料に一部を抜粋する
- IR/株主通信に引用する
- Webコンテンツとして再利用する
このように使用シーンを明確にすれば、印刷かデジタルか、分冊か通読型か、といったアウトプットの判断にも直結します。
3. 経営と現場、両方の視点が反映されているか?
社史は経営の意思と、現場の体験の双方を編集しなければ、読み手にリアリティを持って伝わりません。
経営視点だけでまとめると抽象的な理念の羅列に、現場の視点だけだと“思い出集”になりがちです。
これを防ぐためには、以下のような構造が効果的です。
- 経営層インタビューによる価値観の可視化
- 現場社員の声を反映したエピソード記事
- 両者をつなぐ「物語の軸」づくり
編集方針として「どこまで誰の声を拾うか」をあらかじめ設計することで、過不足なくバランスのとれた構成が可能になります。
4. 編集チームの体制と役割分担は明確か?
社史制作は想像以上に“人の力”に依存するプロジェクトです。
リソースや役割が曖昧なまま進行すると、スケジュール遅延や品質低下を招きます。
以下のような体制を整えておくことが望ましいです。
- 経営層との接点を持つ統括担当(意思決定窓口)
- 社内調整・素材提供を担う実務担当(推進役)
- 外部パートナーとの連携・編集を管理するディレクション担当
さらに、外部パートナーを活用する場合は、「構想設計から関わる編集力のある会社」を選ぶことで、社内の負担を抑えつつ、質の高い成果物につながります。
5. 完成後の“活用導線”は設計されているか?
社史は作って終わりではありません。むしろ活用されて初めて意味を持つコンテンツです。
活用されない社史の多くは、完成後の導線が設計されていません。以下のような展開方法を事前に視野に入れておくことが大切です。
- 一部を動画化し、社内イントラやSNSで発信
- Web連載として再編集し、広報・採用に転用
- 社員からの感想投稿や感謝メッセージと連動させる
活用の設計があれば、社史は“一度読まれるだけの冊子”ではなく、“生きたメディア”として企業の内外で機能し続けます。
成功する社史は「設計」で決まる
社史は、単なる歴史の記録ではありません。経営理念、企業文化、社員の思い、未来への意思──それらを一つの構造に編集し、言葉とデザインで届けるプロジェクトです。
その成否は、構想段階での設計に大きく左右されます。「目的」「読者」「視点のバランス」「体制」「活用」──この5つのチェックポイントを整理しておくことで、確実に“意味ある社史”に近づけます。
構想から実行まで、安心して進められる社史制作を
日本ビジネスアート株式会社では、企業の課題や目的に応じた社史制作の構想設計から、編集・デザイン・印刷・映像・Web展開までを一貫してご支援しています。
制作負荷の軽減と成果物の価値向上を両立させるプロセス設計により、社史を単なる冊子ではなく経営資産として活用できる形にすることが可能です。