社史・周年知恵袋

周年や節目を迎えた企業が、社史の制作を検討することは少なくありません。
しかし、その問いは本当に「社史をつくるべきか」ではなく、「なぜ、誰のために、何のためにつくるのか」であるべきです。

単なる記念や記録にとどめるのか。
あるいは、これからの企業文化や行動様式を変えていくための戦略的な起点として捉えるのか。

本稿では、社史を企業変革の装置として捉え直す視点と、実際の設計・運用方法を解説します。

企業変革に必要なのは”問い直し”である

経営環境が変化する中、多くの企業が課題として挙げるのが「組織の意識を変えたい」「理念を行動に落としたい」「文化の転換点をつくりたい」といったテーマです。

こうした変革の本質は、過去の価値観や成功体験を一度問い直し、これからの時代にふさわしい”軸”を再定義することにあります。

この”問い直し”を自然な流れとして社内に仕込める絶好の機会が、社史をつくるプロセスなのです。

“つくる過程”が社員の認識を変える

社史は完成品よりも、制作のプロセス自体にこそ価値があります。

たとえば、

  • 経営陣の過去の意思決定や理念の源流を言語化する
  • ベテラン社員の経験から”らしさ”を掘り起こす
  • 若手や海外拠点を巻き込み、”自分たちの歴史”として再編集する

このように全社を巻き込みながら過去と向き合い、未来に必要な価値観を見出していく作業は、単なる記録づくりではなく、組織の内省と再構築そのものです。

“誰のために”の解像度を上げる

変革を意識した社史づくりにおいて、最初に明確にすべきは「誰のための社史か」です。対象によって構成も語り方も大きく変わります。

対象 目的 重視すべき構成・機能
社員 行動変容・理念理解 組織文化の象徴エピソード、現場の声、創業理念の背景
次世代管理職 判断基準の継承 経営意思決定の構造、失敗と学びの共有
新入社員 文化の導入・共感 創業ストーリー、社員の等身大の語り、理念の源流
海外拠点 “らしさ”の共通理解 映像・多言語化、価値観の翻訳、文化の象徴エピソード
取引先・外部 信頼・共感・ブランディング 継続性、社会貢献性、顧客起点の判断事例

“何のために”を言語化する

社史を「記念として」「義務的に」ではなく、戦略的意図をもって位置づけることで、プロジェクトの精度と社内の納得感が大きく変わります。

目的例:

  • 組織の意志決定に共通の判断軸を持たせる
  • 部門・世代・国境を越えて”共通言語”を育てる
  • 理念やビジョンを行動に落とす”ストーリー”として伝える
  • 社員一人ひとりの誇りを可視化し、エンゲージメントを高める

このような目的が定まれば、「年表」や「業績集」ではなく、ストーリー構成や社員の語り、問いを誘発する構成が必要になるとわかってきます。

成果にするための進め方

変革の起点として社史を活用する場合、次の3つの視点が重要です。

1. 経営層との対話を”見える化”する

役員座談会やインタビューを通じて、理念の背景や判断の本音を語ってもらい、それをグラフィックや映像に落とし込む。社員に”経営の視座”を共有できます。

2. 社員の”日常”を価値化する

現場で起きている些細な行動や工夫を掘り起こし、「らしさ」や「組織文化」の象徴として編集することで、社員の誇りや共感を醸成します。

3. 継続的な活用導線を設計する

冊子やWebにとどめず、新入社員研修・管理職研修・海外展開・社内ポータルでの連載など、“繰り返し使える設計”にすることが鍵です。

制作・展開支援について

日本ビジネスアート株式会社では、記録としての社史ではなく、“変革の装置”としての社史制作・展開を多くの企業で支援してきました。

  • 社史×理念再構築プロジェクトの企画設計
  • 経営陣や社員との対話を基にした編集構成
  • ストーリー型・問いかけ型・動画型など目的に応じた表現展開
  • 制作後の活用導線設計(教育・採用・Web・グローバル展開)

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“何のために、誰のために社史をつくるのか”。

この問いを明確にすることは、そのまま自社の未来の設計に直結します。
変革を望む企業にとって、社史はもっとも本質的で、長く効く投資になりうるのです。

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