社史・周年知恵袋

企業にとっての「理念」は、単なる飾り文句ではありません。

急速な社会変化、価値観の多様化、働き方の再定義が進むなかで、組織の軸となる判断基準や文化の核としての役割が、ますます重要になっています。

しかし現実には、掲げた理念が「社員の行動にまで落ちていない」と感じる経営層も少なくありません。
理念が共有されていない、形骸化している──そのような状況を打開する契機となるのが、「周年事業」です。

本稿では、理念のアップデートと実行への橋渡しをどう設計するか、周年事業を通じて“文化と行動”を変えるための仕掛けをご紹介します。

理念を“再定義”するタイミングとしての周年

理念は「一度定めたら変えてはならないもの」ではありません。

時代の変化、事業環境の変化、組織の成長に応じて再定義し続けることこそが理念の本質的な役割です。

周年という節目は、社史を振り返りながら、

  • なぜこの会社は存在しているのか
  • これから何を目指すのか

を改めて考える、数少ない全社的なタイミングです。

理念の“見直し”を現場巻き込み型にする意義

理念を経営層だけで再構成し、社内に一方的に通知するだけでは、社員の共感は生まれません。

むしろ、「理念って誰が決めたんですか?」という距離感を生みやすくなります。

そこで効果的なのが、現場を巻き込んだ“共創型”の理念再構築プロジェクトです。

たとえば

  • 各部門の代表者や若手社員を交えた対話の場を設ける
  • 現場から見た「この会社の強み・弱み」「らしさ」を言語化するワークを行う
  • 社史を通じて「これまで何を大切にしてきたか」を確認しながら未来を描く

こうしたプロセスを経ることで、「自分たちでつくった理念」という当事者意識が育ちます。

行動につなげる“導線設計”が理念を機能させる

理念の文言を変えるだけでは、社員の行動は変わりません。
言葉と行動をつなぐ“仕掛け”が必要です。

代表的な仕組みとしては

  • 理念を体現した行動を表彰・紹介する制度
  • 社内報やイントラで理念エピソードを定期連載
  • 理念を軸にした評価制度・1on1の質問設計
  • “理念×社史”を活用した研修プログラム

とくに、過去の選択や判断が語られた社史と組み合わせることで、理念の背景にある企業の判断基準・価値観の流れが立体的に理解できるようになります。

言葉の力を、共感と行動へ

理念は、単に「いい言葉」ではなく、「動ける言葉」であるべきです。

そのためには、以下の3つの視点が欠かせません。

納得できる“根拠”があるか
→ 社史や経営の過去の判断とつながっているか
日常業務に“結びつく”言葉か
→ 抽象的すぎず、具体的な行動と接続できるか
“語りたくなる”魅力があるか
→ 自分の言葉で他者に伝えたくなる表現か

こうした条件を満たす理念は、単なるスローガンではなく、社員の意思決定と行動を後押しする“共通言語”として機能していきます。

成果につながる周年事業とは

周年事業を成果に変えるには、

  • 一過性のイベントではなく、文化再設計の機会として活用する
  • 社史と理念の両軸で“過去と未来”を語り直す
  • 社員自身を「語り手」として巻き込む

といった視点が不可欠です。

制作・運用のご支援について

日本ビジネスアート株式会社では、
周年を契機とした理念再構築・社史活用を通じて、企業文化の再定義と行動変容を支援しています。

  • 理念刷新プロジェクトの設計とファシリテーション
  • 社史・動画・証言を活用した“語れるコンテンツ”の制作
  • 理念を行動につなげる制度・研修・導線設計

理念は、未来を描く旗印であり、行動を導く羅針盤です。
周年をその言葉を再定義する機会とし、社員一人ひとりが納得し、動き出す組織文化へ。
その第一歩は、「言葉の再設計」から始まります。

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