社史・周年知恵袋
社史 基礎知識記念誌づくりは変革のきっかけになる──組織の壁を越えるプロジェクト設計術
記念誌制作は、単なる記録ではなく、設計次第で組織の「変革のきっかけ」となります。部門横断の対話を通じて、組織の“関係性”と言語を再構築するプロジェクトとして活用できます。
記念誌や社史の制作は、企業にとって節目のタイミングに行われる“特別な仕事”です。ただし、単なる記録や振り返りで終わらせてしまえば、読み手も一過性の印象しか残りません。
一方で、うまく設計すれば、記念誌づくりそのものが「変革のきっかけ」になり得ることをご存じでしょうか。
「業績や数字」ではなく、「人」や「文化」を編集の軸に置いたとき、そこには部門横断の対話が生まれ、共通の価値観が可視化されていきます。
つまり、記念誌は組織に眠っていた“関係性”と“言語”を再構築するプロジェクトとして活用できるのです。
組織に潜む“分断”は、気づかれにくい
事業の多角化、海外拠点の増加、リモートワークの浸透などにより、企業内のコミュニケーション構造は年々複雑化しています。
- 部署や世代による“見ている現実”の違い
- 経営と現場の“言葉のギャップ”
- 組織に根づいた“暗黙の常識”の分裂
こうした分断は、顕在化しにくいまま、日常業務を妨げていきます。記念誌の制作は、これらの分断を横断的に見直す絶好のチャンスです。
記念誌は“全社対話”の場をつくる
記念誌プロジェクトを単独部門で進めるのではなく、以下のように横断的に設計することで、組織に新しい関係性が生まれます。
1. 各部門・拠点をつなぐ“実行委員会形式”
周年誌のテーマ設計や構成を、現場の代表者を交えて実行委員会形式で行うことで、
- 異なる部門間の相互理解
- 若手・ベテランの世代対話
- 海外と本社の文化融合
といった社内に眠っていた“接点”が動き出す機会になります。
2. 経営層と現場をつなぐ“編集会議”
経営の視座と現場の実感を“同じ誌面で表現”するためには、両者の言葉をつなぐ対話が必要です。トップメッセージや創業エピソードだけでなく、現場社員の判断・苦労・工夫を聞き、再構成する作業は、“理念の実装状況”を可視化するプロセスでもあります。
経営層も改めて、「自分たちの価値観が、今どう現場で受け継がれているか」に気づく機会になります。
3. 価値観の“翻訳”が文化の再定義になる
記念誌では、創業精神や企業理念を語ることが多いですが、それらが形式的にしか扱われない場合、読者の共感を得ることはできません。
- 創業者の意思決定に、どんな判断軸があったか
- 現場で当たり前とされている文化が、他社とどう違うのか
- 社内では語られないが、重要なターニングポイントは何か
こうした“語られていない価値”を言語化する編集作業は、組織の自己理解を深め、未来の行動に説得力を与えます。
“つくる過程”が変革のスイッチになる
周年記念誌の効果は、完成物だけにあるのではありません。「誰と、どんな意図で、どのようにつくるか」──この設計こそが、最大の成果を決定づけます。
- 異なる部署同士が対話し、関係が生まれる
- 経営と現場が価値観をすり合わせる
- 歴史をたどる中で、行動の軸が言語化される
- 社内外の信頼が構築され、次の10年への足場になる
記念誌は、単なる“記録物”ではなく、変革の“触媒”として機能するのです。
制作支援について
日本ビジネスアート株式会社では、記念誌や社史を「組織変革のプロジェクト」として設計し、以下のような支援を行っています。
- 実行委員会型の編集体制づくり
- 部門・拠点横断のインタビュー設計と進行
- トップメッセージ・理念の編集支援
- 紙・Web・動画のメディア展開と活用導線設計
組織の“言葉”を再編集することが、未来の変革につながる。
記念誌は、静かな社内改革の第一歩になり得ます。その可能性を活かすためにも、今こそ“つくり方”から見直してみてはいかがでしょうか。

