社史・周年知恵袋

「お客様にとってはなくてはならない存在なのに、自分たちの仕事を説明しようとすると言葉に詰まる」

「専門的すぎて、家族や新入社員にどう説明すればよいかわからない」
そんな声を、私たちは企業の周年プロジェクトにおいて幾度となく耳にしてきました。

実際、製造業・インフラ・BtoB事業などを中心に、“社会的に必要不可欠な仕事”であるにも関わらず、その価値が語られていない現場は少なくありません。
記念誌制作は、そうした現場の魅力や誇りを初めて言葉にし、社内外と共有するための重要な機会になり得ます。

「現場の当たり前」は、語らなければ伝わらない

現場で働く社員にとって、自分の仕事は“日常”であり、“当たり前”です。
しかし、その当たり前の中には、企業が積み重ねてきた歴史・判断・こだわり・工夫の蓄積があります。

たとえば

  • 「10年にわたり試作を繰り返した設備の精度」
  • 「見積に現れない“手のかかる作業”を担ってきた背景」
  • 「トラブルがあったときに誰がどう判断して解決したか」

こうした物語は、普段あえて語られることは少なくても、企業文化の“核”をなすものです。
記念誌をきっかけにこれを言語化することで、社員自身が自らの価値に気づき、他者との共有がはじめて可能になります。

“翻訳”としての記念誌編集──3つの工夫

記念誌は、単なる記録集でも、企業紹介パンフレットでもありません。
社員が自分の仕事に自信を持ち、家族や後輩、新しい仲間に誇りを持って語れるようにするためには、“翻訳”としての編集設計が不可欠です。

1. 専門性をかみ砕く「ことばの変換」

現場の仕事は複雑で専門的です。
そのままでは伝わらないため、外部目線で本質を抽出し、伝わることばに置き換える必要があります。

  • 難解な技術は、比喩や図解でわかりやすく
  • “数字で語れない”工夫は、エピソードで立体的に
  • 課題解決のプロセスは、ストーリーとして構成

読む人の理解力ではなく、編集側の工夫によって“伝わる化”を実現することが重要です。

2. インタビューを“発掘作業”にする

「自分の仕事を話すなんて照れくさい」「語るほどのことはしていない」
そうした社員の言葉の奥に、本質的な価値が隠れていることは少なくありません。
編集者・ライターは“聞き手”ではなく、“掘り起こし役”であるべきです。

  • 「その判断は、誰のどんな想いから始まったのか」
  • 「それをやらなかったら、現場にどんな影響が出ていたか」
  • 「もし同じことを新人がやるとしたら、何を伝えたいか」

こうした問いを通じて、語られなかった経験や価値観を見える形に整えていくことが、記念誌の真価をつくります。

3. 現場が“読み手”になることを前提に

経営層や広報向けに作られた記念誌は、現場には届きにくくなりがちです。
読み手の中心を“社員自身”に据える設計を行うことで、共感と定着が生まれます。

  • 見出しや写真で“自分ごと”化する工夫
  • 同じ職種や部署の仲間の言葉に“自分の役割”を再認識する構成
  • 複数拠点・世代を超えた共通認識を育む全社的な編集体制

結果として、記念誌が“読むもの”から“語るきっかけ”に変わっていくのです。

企業文化を“使える資産”に変えるには

現場の魅力を翻訳し、言語化して蓄積していく記念誌は、企業にとって単なる節目の記録ではありません。
理念や判断基準、組織の強みを行動につながる形で共有するための“文化資産”です。

また、以下のような施策と組み合わせることで、さらに効果的に活用できます。

  • 新入社員研修での導入
  • 管理職研修での判断軸共有
  • 海外拠点への文化浸透
  • 採用活動での“らしさ”の発信
  • Webコンテンツや社内報との連動展開

制作・展開のご相談について

日本ビジネスアート株式会社では、企業の記念誌・社史・周年プロジェクトにおいて、
現場の声を“伝わる物語”に翻訳する編集支援を行っております。

  • 専門的な業務をわかりやすく表現
  • 部署・世代を超えた全社巻き込み型編集体制
  • 紙/Web/動画などのメディア展開
  • インナーブランディングや採用・研修との連携

語れない仕事は、伝わらない。
伝わらない価値は、評価されない。

周年は、現場の魅力を初めて“言葉”に変えるチャンスです。
記念誌という編集手法を通じて、社員自身が自分たちの仕事に誇りを持ち、次世代へ文化を引き継ぐ土壌を育てていきましょう。

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