社史・周年知恵袋

「わが社らしさ」とは何か――

経営層、広報、人事、現場、それぞれの立場で問われるこの問いに、言葉で即答できる企業は多くありません。
理念や行動指針は存在していても、実際の判断や行動にその“らしさ”がどう体現されているか、社員の中で語り継がれているかというと、その輪郭はあいまいです。
そこでいま注目されているのが、“らしさ”の再発見と“これから”の指針づくりを同時に叶える社史の再定義です。

なぜ、いま社史を“再定義”するのか?

社史は長らく、節目の年に業績や出来事を記録するアーカイブとして扱われてきました。しかし、変化の激しい現代において、社史の価値は「過去を残すもの」から「未来を問うもの」へと変わりつつあります。

その理由は明確です。理念浸透、行動指針の徹底、採用ブランドの強化、グローバルでの一体感の形成…。すべての“文化に関わる経営課題”において、組織の核となる“らしさ”の言語化が求められているからです。

社史は単なる過去の記録ではなく、企業文化を言語化し、未来に活かす“文化編集資産”なのです。

社史は「記録」から「編集」へ

再定義された社史において重視されるのは、“事実”を並べることではありません。重要なのは、何を選び、どう語り、どうつなぐかという編集の視点です。

1. 「らしさ」がにじむ出来事を選ぶ

単なる年表的事実ではなく、「あの判断はこの会社らしい」「このエピソードに文化が現れている」といった価値観を象徴する瞬間を抜き出す。

2. 社員の語りから“感情”を掘り起こす

現場の声、創業者の肉声、管理職の迷い…。多様な立場の言葉から、“何を大切にしていたか”という組織の情緒的な本質を引き出す。

3. “過去→現在→これから”の文脈でつなぐ

歴史をたどるだけでなく、「この価値観は今、どう生きているのか」「次の10年にどう発展させるか」を言語化し、未来志向のナラティブへと転換する。

「らしさ」が“行動の軸”になるとき

編集的に再構成された社史は、「理念」や「行動指針」の背景として社員に機能しはじめます。

たとえば、

  • 判断に迷ったときの「拠り所」として、過去のエピソードが活用される
  • 文化的な意味合いを理解したうえでの行動が、部署や世代を超えて共有される
  • 採用や海外展開で語られる企業の“芯”として、共感と納得を呼び起こす

このように、らしさの可視化は、組織の一体感と行動の整合性を高める力を持っています。

“これから”を言語化するために

文化は、ただ継承するだけでは持続しません。時代や戦略の変化に合わせて「これからのらしさ」を再定義することが必要です。

この「更新」の起点となるのが、周年や事業転換などの節目における社史制作プロジェクトです。以下のような設計が、未来につながる社史づくりに効果的です。

視点 実施内容
経営の本音 経営陣との座談会、過去判断の“なぜ”を語るインタビュー
現場の文脈 多職種・多拠点・多世代の取材から日常の価値を拾い上げる
未来への問い 「これから大切にしたいことは?」「次のらしさとは?」という社内対話の機会をつくる
再利用設計 新人教育、管理職研修、Web展開など、繰り返し“使われる導線”を組み込む

制作支援のご案内

日本ビジネスアート株式会社では、記録のための社史ではなく、“文化を再定義し、未来を動かす”ための社史づくりを支援しています。

  • 社史を通じた理念・行動指針の言語化
  • 多層的な声を編み込む編集設計
  • 紙・Web・動画など複合メディアでの展開
  • 教育・採用・グローバルへの展開設計

“らしさ”を掘り起こし、未来を言語化する。

社史は、過去の総括ではなく、これからの組織に必要な「軸」を見つけ出すための装置です。

いまこそ、文化を起点に未来をつくる──

そんな社史の再定義が、企業変革の第一歩となるはずです。

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