社史・周年知恵袋
周年事業“受け身の文化”を変える──周年を活かした社史と理念の共創プロジェクト
受け身の文化を変えたい──そんな課題に対し、いま注目されているのが、社員を巻き込んだ「社史と理念の共創による周年プロジェクト」です。
企業が長く続くなかで、いつの間にか「指示を待つ文化」が組織に根づいてしまうことは少なくありません。
とくに、歴史ある企業ほど、“前例”や“ルール”に倣うことが常態化し、社員が自ら考え、動く風土が薄れていく傾向があります。
そうした空気を変えたいと思っても、単なるスローガンでは現場の行動は変わりません。
このような“受け身の文化”を変えていくための契機として、社史と理念を共創する周年プロジェクトが、今注目を集めています。
周年を“振り返り”だけで終わらせない
多くの企業では、周年事業というと式典や記念誌の制作を思い浮かべます。
もちろん節目を祝うことも重要ですが、周年は本来、組織の未来を描く出発点でもあるはずです。
その起点として有効なのが、
- 社史という「過去」の可視化
- 理念という「未来」の言語化
を同時に行い、社員を巻き込みながら“原点”と“行動の軸”を再定義することです。
社員を“理念の共創者”に変えるプロセス
ある企業では、記念事業を「創業〇周年プロジェクト」として発足させ、社内から公募でメンバーを募りました。
経営層と現場リーダー、若手社員が対話を重ねながら、次のようなステップで理念と社史を再構築していきました。
1. 社史を読み直し、創業の意思を見つける
創業者の判断や過去の危機と挑戦のストーリーを整理しながら、「この企業らしさとは何か」を掘り起こします。
2. 現場視点で理念の再定義に挑む
経営理念の言葉を一つひとつ丁寧に見直し、「この表現で本当に自分たちは動けるか」を徹底的に議論します。
現場が自ら言葉に関与することで、理念が押しつけではなく“自分たちの旗印”に変わっていきます。
3. 社員投票・公開レビューで全社を巻き込む
草案が固まったあとは、イントラや社内報を通じて全社員に公開。意見を募り、投票やコメントを反映する仕組みによって、“組織全体でつくった理念”としての実感が生まれます。
なぜ“社史”が文化の転換に効くのか
社史は、ただの過去の記録ではありません。
創業の目的、苦境の乗り越え方、何を選び何を捨てたか──そうした選択の積み重ねこそが、組織の“判断軸”であり“価値観”です。
それを改めて見つめ直すことで、社員一人ひとりが「自分たちはどういう企業の一員なのか」を理解し、日々の行動と結びつけることができます。
理念の「言語化」と、社史の「ストーリー化」。
この両輪によって、社員が組織の当事者として動き出すきっかけが生まれます。
成果を“文化”にするための工夫
こうした周年プロジェクトを一過性の取り組みで終わらせないためには、次のような仕組みづくりが必要です。
- Web社史として公開・共有し、日常的にアクセスできる導線をつくる
- 理念を体現した社員を紹介する社内報連載や表彰制度を設計する
- 経営陣が自ら理念と社史を語るワークショップを継続的に開催する
形に残すだけでなく、日々の中で触れ・語られ・動機づけにつながる設計が、文化の転換を定着させます。
共創によって、社員が“動き出す”
受け身の文化を変えるには、「誰かが変えてくれる」という他人任せの姿勢から、「自分が担っている」という当事者意識への転換が必要です。
社史と理念を“与えられるもの”から“つくるもの”へ。
そのプロセスに社員が関わることで、組織に必要なのは完璧な言葉ではなく、納得と共感のある物語だということが実感されていきます。
制作支援のご案内
日本ビジネスアート株式会社では、
- 周年記念プロジェクトの設計支援
- 社史と理念の共創ワークショップ設計
- 多言語・Web対応の社史コンテンツ制作
- 経営層と社員をつなぐ対話コンテンツ編集
など、周年を機に組織文化を再設計する取り組みを多数ご支援しています。
周年は、過去を振り返るためでなく、未来を変えるチャンスです。
“受け身の文化”を変えたい。その意志を、言葉と物語に込めていく周年プロジェクトこそが、企業文化を動かす第一歩になります。