社史・周年知恵袋
社史 効果現地スタッフに“らしさ”を伝える──海外で機能する社史コンテンツとは
制度では伝わりにくい“自社らしさ”の共有手段として、社史を活用する動きが広がっています。
企業のグローバル展開が加速するなかで、拠点拡大以上に難易度が高いとされるのが、現地スタッフへの文化浸透です。
業務マニュアルや制度は整っていても、「なぜこの仕事の進め方を重視するのか」「なぜこの判断が求められるのか」といった“自社らしさ”まで伝わっているケースはそれほど多くはありません。
そこで今、多くの企業が見直しているのが、社史を活用した文化の共有です。
単なる記録ではなく、“企業らしさ”を現地スタッフに届ける文化コンテンツとしての社史。
本稿では、海外で機能する社史コンテンツの設計思想と実践的な工夫をご紹介します。
“社史=冊子”の時代は終わった
従来の社史は、創業からの沿革や事業変遷をまとめた冊子が主流でした。
しかし、海外拠点においてはこの形式では言語・物理的距離・関心の壁を越えられません。
現地スタッフが知りたいのは「日本でこうだった」という事実よりも、
- この会社はどんな価値観で動いているのか
- 自分の仕事とどう繋がっているのか
- なぜその考え方が大切にされているのか
という“意味”です。
そのため、社史を機能させるには情報の形を再構築することが必要です。
海外拠点で機能する社史コンテンツ設計のポイント
海外向け社史では、「読む」から「感じる」へのシフトが重要です。
以下は、現地スタッフに“自社らしさ”を効果的に伝えるための代表的な工夫です。
1. 創業ストーリーは“なぜ”にフォーカスする
創業年や製品名よりも、「なぜこの事業を始めたのか」「何を成し遂げたかったのか」に焦点をあてましょう。
理念や行動指針の“根拠”として機能し、現地スタッフが自分の業務に意味を見出しやすくなります。
例:利益より信頼を重視した初期の逸話 →「この会社は長期的信頼を重視する」文化として理解
2. 動画で“表情と温度”を伝える
社史を動画化することで、理念や判断に込めた「熱」が伝わります。
現地の言語字幕や吹き替えを加えれば、創業者や経営陣の思いをダイレクトに共有できます。
- 創業者インタビュー
- 創業期のストーリードラマ
- 海外拠点向け特別メッセージ動画
表情や語り口など、言語を越えた共感のきっかけが生まれます。
3. 証言コンテンツで“自分も語れる”社史へ
本社だけでなく、現地スタッフ自身の声も“歴史の一部”として記録・共有することで、共通の文化への参加意識が育ちます。
「私はこの会社で〇〇を実現できた」「この理念は自分の行動と一致する」といった証言が、
「自分もこの企業の一員である」という実感につながります。
証言は動画・テキスト・チャット風コンテンツなど、形式を工夫することで読み手の抵抗感を減らせます。
4. ビジュアル年表で“全体像”と“自分の位置”を見せる
現地スタッフにとっては、本社の歴史全体が見えにくいものです。
経営の節目やグローバル展開の流れを整理した年表をインタラクティブに見せることで、「自分の仕事がこの歴史の延長にある」という認識を持てるようになります。
現地スタッフが共感する“らしさ”とは何か?
文化の浸透において重要なのは、「この会社らしいと感じるポイント」がスタッフ個人の価値観と接点を持つことです。
- “困難の時代に守った価値”は信頼感に
- “挑戦を恐れなかった判断”は誇りに
- “失敗から立ち直ったエピソード”は学びに
こうした“らしさ”が、共感を誘い、単なる所属感ではない自発的なロイヤリティを生み出します。
海外展開における社史の再設計なら
日本ビジネスアート株式会社では、企業の“らしさ”を多言語・多拠点で伝えるための社史コンテンツの再編集、Web展開、映像制作、研修設計を支援しています。
- 海外拠点向け動画・証言コンテンツの企画・編集
- 多言語対応のWeb社史設計とイントラ連携
- 現地参加型の証言収集やワークショップの設計
文化は教えるものではなく、共有するもの。
現地スタッフに“らしさ”を伝える社史とは、理念の押し付けではなく、共感と参加を生む“語れるコンテンツ”である必要があります。
その工夫が、世界中で活きる組織文化を育てていく第一歩になるのです。