社史・周年知恵袋

社史は「歴史を記録するだけの冊子」だと思っていませんか?

もちろん、「歴史を記録する」ことはが大切な発行目的の1つであることには変わりありません。
一方、社史で従業員の帰属意識を深めたり、営業ツールとして活用できたりといった役割も求められるようになってきました。表現方法もますます多彩になっています。
もはや社史は“発行したら資料室で眠っているもの”ではなく、
“発行後も使える、役立つ”媒体としての価値が認められているのです。

そんな価値ある社史づくりで肝を握るのが、発行目的を明確に決めること。
今回は「歴史記録」以外の代表的な5つの発行目的を紹介します。

1、「歴史記録」以外の代表的な社史発行目的!5つを紹介

1−1 ブランディング力向上

社史は、必ずしも社内向けのみに制作するとは限りません。
周年の節目を機に「会社のブランディングを見直し、社内外に伝えられる媒体として社史を作ろう」と考える企業も多数あります。
ブランディングのポイントは、企業の「強み」や「らしさ」。自社の歴史からそのエッセンスを抽出してまとめた社史のニーズが高まっています。
多くの方に読んでいただくことが大前提となるので、より手軽に手にとっていただけるよう、文章だけではなく漫画などで制作する企業も多数あります。

1−2 経営判断の根拠を知る

自社がどういう経緯で設立されたのか、今主流となっている製品がどのように開発され、どのように売れてきたのか――。そうした背景を意外と「知らない」または「入社当時に研修で聞いたけど忘れてしまった」という社員は少なくないはずです。
更に、その背景にある「社長の経営判断の軸」について、
深く理解している社員はより一層増えるでしょう。
そこで、周年をきっかけに、歴史事実をきちんと残すと同時に、その背景にあった「経営判断」についても知ってもらおうと考える企業が増えています。発行後には新人研修や中途社員研修で活用されることも少なくありません。

1−3 DNAの継承

長い歴史のなかで育んできた企業のDNAは、しっかりと守り、受け継ぐべき大切なものです。
しかし、それは容易なことではありません。たとえば、現場の匠が持つ技術やその背景にある想いを通常業務で伝えきれず、活字にも残せていない。社員の入れ替えによって伝承が途切れてしまう…。その結果として、企業の根幹を為すはずのDNAが徐々に薄れていってしまうという状況は避けたいものです。
そこで、周年を機に企業のDNAをしっかりと「モノ」として残し、後世に引き継ぐツールとすることも、社史の大切な発行目的となります。制作する際には「何年後も使える社史」を想定することが大切です。企画では、経営理念やブランドスローガン制定の裏側などを紹介する企画を盛り込むことがあります。

1−4 一体感醸成

企業規模が大きくなるにつれ、「セクションが垣根になって社員同士の気持ちが離れている」「普段、セクションを超えたコミュニケーションがほとんどない」「他の人が何の仕事をしているのかわからない」。そんな課題を感じる企業が増えてきます。
そこで、社史を制作するにあたり「歴史を記録する」だけでなく「一体感醸成」をもう一つの目的とすることも。その際は、部署ごとの歴史や歩みを伝える企画や社員参加型の企画を織り交ぜることで、組織のルーツを明確化。顔を合わせたことのない人々とも会社の中での繋がりをイメージでき、帰属意識を生む効果が期待できます。

1−5 社員のモチベーションの向上

「日々の仕事にやりがいを持つ」きっかけを企業側から提供することができるのも周年の良いところです。歴史事実は、メッセージを伝える際の揺るがない根拠となります。また、歴代のステークホルダーにインタビューして第三者視点から自社を見る、自社が提供しているサービスや製品が世の中でどのように役に立っているかを知るなど、様々な角度から企画を立案する例が多く見られます。

まとめ

社史を作る以前に、周年を機に企業として「何を達成したいか」「社史の価値は何か」をまずは考えることが大切です。自社の現状課題に適した発行目的を設定できるよう、課題を明らかにしたうえで、社史制作に臨みましょう。

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